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 都会には行き場のない中高年の人々が、駅の通路やベンチに寝込んでいる風景も珍しくないが、上記の写真は愛知芸術文化センターの玄関脇にあるベンチである。

 ただし、断っておきたいのは、ここで横になる御仁は浮浪者ではなく、れっきとした元教師であり、我々の中学時代の恩師であり、現在は書道の師匠であるばかりか、数年前まで某教育委員会の委員長を務めてみえた人の食後の休憩姿でありました。

 昨年5月に胃がんのため胃の全摘手術を受けられており、現在も食後に30分ほど横にならないと体調管理が難しいとの事で、本日も名古屋の中心部で昼食を取り、愛知県芸術劇場で開演された教え子の出演する演劇が始まるまでの間に見つけたベンチでの休憩姿である。

 「ここに入れてもらえないですか?」と必死で頼んだ会場で、「あと30分まで入れません」と関係者から無常な言葉が返ってきた。演劇会場にあるベンチが目的であったが入れてもらえず、受付の案内係に聞いても横になれる場所はなく、やむおえず正面玄関のベンチでの休憩となった次第である。

 しばらくして、玄関にはハカマと花嫁姿で結婚式の新郎新婦がタクシーから降り立ち、このベンチの脇を正装した親族が続いて通って行った。この人達にとってこのベンチは何と映ったのか。私は笑いをこらえきれずに一団を見送り、そのまま携帯電話を取り出しての一枚となった。

 この建物は愛知県の芸術文化の中心であるばかりか、バリアフリーにも対応した建物であるが、広大な空間と不必要と想われるような広い通路があるものの、腰掛けるイスやベンチはほとんど無い。
 横になれるベンチまで必要とは望まないものの、入館者の多くに高齢者の姿がある事からイスやベンチの配慮が必要と思うのは私だけではないであろう。

 さて、本日は山本周五郎原作の「いのち ぼうにふるう」が演目であったが、会場の小ホールの座席も小さく、最前列に陣取ったためか、3時間近い熱演を鑑賞するには苦痛を伴い、間近で繰り広げられる熱演にも顔を向けるのも苦痛である。寝不足の個人的体調もあったが、終了直後に飲んだ頭痛薬が効いたのは帰宅間際となった。
                          10月13日の一言