「遠い親戚より、近くの他人」とか、「遠き親子よりも近き隣」とのことわざがあるが、ともに遠くの親戚や親子よりも、隣近所や周りの他人の方がいざと言う時に頼りになるとの意味のことわざである。

 「ちょっとあなたにお願いしたい事があるんだけど…」と、昨日の夜に『横井庄一』さんの夫人より電話があり、病院に入院している際の退院後の受け入れや、医療費の支払いに対する連帯保証人になって欲しいとの連絡があった。「連帯保証人にはなってはならない」と言う人も多いが、先祖にあたる横井庄一さんの夫人ゆえに当り前に引き受けた。

 横井夫人には京都に兄や弟達がおり、甥も立派に活躍しているが、前記したことわざのように遠くにあっては機敏な対応もできず、私にオハチが廻ってきたのであるが、私にとっては親に反対された学生結婚の良き理解者であり、私の仲人である事から、これこそ恩返しであり亡くなった父親のためにも踏ん張りどころと思っている。

 「雨が降っていたら行く」との約束をしたところ、幸いにして早朝に小雨が降り、朝より知人を珈琲にと誘って、一緒に名古屋市の東側にある国立療養所東名古屋病院に向かった。(我家は名古屋市の西に位置しています)

 病室のある階数と部屋番号を聞いていたので、エレベーターを降りて部屋を探して歩いていくと、「ちょっと、ちょっと」と慌てた表情で看護師さんに制止され、「何でしたか?」と余裕で尋ねていると、「ここはマスクをはめないと入れないんです」と言葉が続き、「結核菌に感染するかもしれない」との言葉が続けられてきた。

 軽い老人性結核とは聞いていたが、ここの病棟は全員が結核の患者さんが入院しており、マスクをつけないと入れないばかりか、体調が悪い人は感染する可能性もあると聞き、改めて結核の恐怖を実感した。医学の発展で過去のような隔離との印象はないものの、ここの患者さんはこの病棟内しか自由に歩けないとの事であった。

 ご丁寧にも自販機でマスクが売られていたが、値段を見ると1.200円とあり、「高いなァ」とボヤいて、「患者を呼んではもらえませんか?」とお願いして待っていると、「これは、内緒だけどッ」と看護師さんよりマスクが手渡された。ただし、看護師さんの厳重なマスクと比較すると心配となる普通のマスクでもあった。

 夫人に「ちょっと部屋も見ていくッ?」と言われて、「大丈夫かなァ」と感染しないかと心配しながらついていったものの、部屋を出るのが心配で「帰りの廊下で感染しないかなァ」と呟くと、「何言ってるの、この部屋の中が一番危険なんだから」と言われ、もっともだと感心したのでもあった。

 近年では結核は怖くなくなったとの声を耳にした事もあるが、医学が発展して治療法は向上したものの、高齢者の感染する例は多く、夫人も30年前に肺を患った際の再発との話から、結核菌の怖さを改めて実感した次第でもある。
 本日の訪問で看護師さんから体調が悪くなければ感染はしないと言われたが、決して万全の体調ではないことから一抹の不安を抱えての帰宅となりました。
                               4月8日の一言