何キロも人を引きずるひき逃げ事故が相次ぐ大阪で、本日の早朝にも新聞配達の少年を轢いた41才の大工が7キロも引きずったあげくに死亡させるという事故が発生した。

 被害にあった少年は16才の若さで命を奪われる事となったが、過去の事件同様に、直後の救護活動や救急車や病院の手配が整えば、失う事のなかった命かもしれない事から、今回の事件を過去の繰り返しの事故とせず、救護もしないひき逃げによる死亡事故そのものについての厳しい法的対応も考えるべきであろう。

 道路交通法の厳罰化により、危険運転致死傷罪が新設され、飲酒運転などによって人を死亡させた場合に、最高20年の懲役刑(併合加重の場合は最高30年)となった事で、飲酒運転そのものや、飲酒による事故が減少した一方で、飲酒の事実を隠す事と、事故そのものから逃避するひき逃げ事故が増加しているのも見逃せない。

 人の命を何とも思わない非道な行為であるが、交通事故の厳罰化が叫ばれ、厳しい実刑判決が下されるようになったものの、人の命を意図的に奪った殺人事件の実刑判決より、長期の禁固刑になる例もあり、逃げ切った方が得策との考えでひき逃げが続いていると考えると、新たな対応も必要ではなかろうか。

 逃げて行く(逃げたい)犯人の心情は、同じ運転する立場から理解はできるものの、迷う事も無く逃げ通そうとする心境はまったく理解ができない行為でもある。

 ずいぶんと以前の話になるが、夕刊を配達中の大学生の単車を追い抜こうとした高校生の単車が、接触してケガを負う事故があり、前を走っていた大学生は無傷であったが、救急車を呼ぶ事故となった。大学生は新聞配達中であり、まったく事故の責任が無いと思われた事(警察の判断)から、雇用主の私が病院に走ったのであるが、ケガをして入院となった高校生の親が駆けつけたあたりから雰囲気は一変した。

 「申し訳ありません」と言う私に、次々と苦言と要求が続き、挙句には「加害者はどうした」と罵声が浴びせられてきたのであった。「今すぐに連れてこい」などと言われ、しばらくは辛抱して聞いていたものの、終る事のない罵詈雑言に、「車体には十分な保険がかけてありますから…」と言う私に、「保険だけで済まそうとするのか」と大声が病院に轟いた。

 前を走っていた単車を無理に追い越そうとして、スピードの出しすぎにより自分で接触してケガとなった事から、明らかに自分に責任のある自損事故と思われるが、事故の相手であり親切心から聞いていた私も、「じゃー、保険も一切使わないから勝手に処理して下さい」と言って、帰ってきてしまったのであった。

 ケガをして入院しているから被害者と思って対応していても、自分の子供の責任を認めず、無関係の相手を加害者と認識して続く苦言は、親切心は吹っ飛び、喧嘩別れとなったが、後日になって相手の保険会社から「せめて、強制保険だけでも使わせて欲しい」とお願いの連絡が入った。

 こんな顛末を経験すると、相手の気持ちを思いやる気持ちも無くなるが、好きで起こす事故では無い事から、こんな小さな事故こそ「お互い様」の気持ちで接していきたい。大阪の何キロも被害者を引きずり、遺体を放置するような事件は、もはや交通事故とは言えず、厳しい断罪が待っていなければならないが。
                                  11月17日の一言