香川県から不妊治療中の20代女性が、体外受精に成功して妊娠したものの、肝心の受精卵を別の患者と取り違えた可能性から、妊娠9週目で人工中絶となり、女性は慰謝料の支払いを求めて病院を訴えている。

 新聞報道によれば、体外受精などの不妊治療による出生児数は06年に1万9587人で、累計では17万4456人(日本産科婦人科学界)になると言う事から、今回の取り違えた事情説明を聞く限り、他の対象者をも疑心暗鬼とさせる事件でもある。

 私自身は4人の子供に恵まれ、しかも3人が希望する男児であった事から、不妊に悩む人々の苦悩は計り知れない立場ではあるが、たった一人の娘が「極めて子供ができづらい体質」と言うだけでなく、日々の生活にも苦痛を伴う症状から、数年前から専門医の指導を受けている。

 昨年9月の事であったが、それまで知人を通じて紹介され、娘が信頼していた(国立病院の)医師が転勤した事により、後任となった医師から「子供が産めない」と断言に近い言葉と同時に、「最悪の場合は子宮の摘出を考えた方が…」との絶望的な所見を聞いてきた。

 泣きながらかかってきた電話にびっくりし、一年後には結婚披露宴も予約していた事と、一生子供を産めない娘と一緒になる相手の心情を考えると、私はこれまでに感じた事のない心痛を味わうとともに、「それでも良い」と覚悟した2人に、諦めずに子作りに励む事と同時に、人には勧められないような四国霊場での神秘的な話をした。

 その中身についてはここでは記さないが、一緒に四国遍路に同行した人々がびっくりする真剣な願をかけて廻り、信じられない事だが遍路から帰った一ヵ月後に妊娠が確認された。
 「そんな筈はないが」が後任となった医師の言葉だったようだが、娘夫婦は四国に足を向けて寝られない恩を受けたと思っている。

 詳細については娘のプライバシーもあり、四国での実体験も詳しくは述べられないが、専門医からダメ出しをだされた娘が見事に妊娠したのであった。

 この事を津島市民病院の医師に『神がかり的』な結果として話したところ、「絶対に生まれないとは言われていないでしょう」と、妊娠する可能性がたとえ少なくとも、妊娠した事は医学的に不思議ではないと言われたが、昨年の九月に娘は大病院の専門医に、子供が絶望的な事と、症状によっては子供が産めなくなる子宮摘出を告げられていたのでもあった。

 ワラにもすがる思いで、私も過去の遍路や参拝では経験した事のない巡礼を続け、「子供の事となると人が変わった」と同行者にからかわれたが、絶望のふちに立たされると信じられないような行動も、恥も外聞もなくしてしまうのでもある。

 今回の事件の当事者や家族にとっては、長年の念願が叶い天国のような世界から地獄に貶められるばかりか、人口中絶によって益々子供が産みづらい環境になった可能性も高い。娘の経験からも、不妊治療は精神的なケア-も重要であり、患者も相当な覚悟で受診している事から、今回のような事件が繰り返さない仕組みと、当事者には是非とも子供が授かる最大限の努力を望みたい。
                                   2月20日の一言