富士スピードウェイの加藤裕明社長は7日の記者会見で、経営環境の悪化を開催中止の理由に挙げ、親会社のトヨタはF1参戦を継続させるために子会社である富士スピードウェイでのGP開催を手放したと報じられている。

朝日新聞の関係記事↓
http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200907080105.html

 世界的な不況は言うまでもなく、世界有数のトヨタでさえ厳しい現実を迎えているわけだが、今回の富士スピードウェイでのF1GP開催権を放棄する行為は、F1参戦に巨額の資金が必要とされている現実は判るものの、企業としての責任としては無責任と言わざるをえない。

 トヨタは9年前に富士スピードウェイを買収するとともに、巨額な改修費をかける半面で、それまで日本のモータースポーツ界の発展と、F1人気を築き上げてきた、ホンダ系列の鈴鹿サーキットから2年前に開催権を奪い取る戦略に出た。

 まさに、トヨタの社運を賭けて、巨額の費用をかけた誘致運動から、モータースポーツの創生期からF1の世界一まで登りつめたホンダの歴史でもある鈴鹿サーキットから、F1の開催権を奪い取り、トヨタの世界戦略としてF1に参戦していたのである。

 結果的には、ホンダも鈴鹿サーキット改修に巨額な資金をかけ、開催権契約の巻き返しを図り、一年ごとの交互開催となり、本年と再来年のF1は鈴鹿サーキットで開催されるようになったが、トヨタの身勝手な開催権放棄で、来年は開催を熱望している韓国などに開催地を奪われる可能性もでているのである。

 F1参戦には百億円とか、開催には数十億円などと巨額な資金が必要と言われているが、ホンダは創業者の本田宗一郎氏の時代から若い技術者の技術力向上のためにモータースポーツの最高峰を目指し、トヨタは販売の世界戦略としてF1への参戦を選択した。

 ホンダはオートバイだけでなく、F1についても相思相愛の人気ドライバー「アイルトン・セナ」によって世界一の座に登りつめたが、世界的不況の中で、F1から撤退するばかりか、他チームへのエンジン供給も断念して企業の生き残りを図り、鈴鹿サーキットでの開催は続ける模様である。

 一方で、日本のモータースポーツの聖地ともなっている鈴鹿サーキットから会場を奪ってまでF1に参戦したトヨタは、いとも簡単に富士スピードウェイでの開催権を放棄し、販売の世界戦略の広告塔としてF1参戦を続けていくが、先行きは不透明でもある。

 企業の繁栄は厳しい販売競争にあり、企業戦略は重要と思うが、トヨタによる巨大資本にものをいわせた開催権略奪によりホンダも予想しない巨額な改修費が必要になったと私は思う。こんな身勝手な横槍でモータースポーツに対するホンダイズムが後退したとしたら哀しいものがある。

 もっとも、F1への参戦と撤退は自由と思うが、F1会場となる開催権については、関係する関係自治体や地元に及ぼす影響も大きく、業種によっては廃業も招く死活問題となる事から、トヨタの開催権奪取や身勝手な放棄は、世界的企業としは無責任との批判は免れない。
                                    7月8日の一言