
先日車検を受けたばかりの車の前面に、「車 高価買取ります」の広告が貼られており、「この車を売る予定があるのでしたら、ぜひこちらの方で買取り致しますので…」と記されているものの、どう見ても27年目を迎えた私の車ライトエースを廃車することに期待したチラシとしか思えません。
近くに置かれたキャラバンや周りの車には貼られていませんし、見ただけで年代物と判る我が愛車のために、「廃車手続き無料です」と記したチラシを、わざわざ車を停めて貼っていったのでしょうから有難く拝見したもののまだまだ頑張ります。
「今なにをしているんだ?」
「何もしていない」
「迎えに行ってやろうか?」
「もしかして、あの車?」
保育園を休んだ孫と暇をもてあます娘との会話ですが、私の車が年代物のため、買い物に行っても乗せてもらってきた事が恥ずかしいとの話をした直後に、こんなチラシが貼られていたことから、なるほどと実感する一日ともなりました。
昨日の話となりますが、戦争映画DVDの創刊号に鶴田浩二さんが出演する連合艦隊のDVDが付いているため書店を訪れると売り切れとなっており、四国八十八ヶ所お遍路入門の保存版と記された「一個人」を買い求めてきました。
「また買ってきたの?」
「新しいのが出たから」
「もう、たくさんあるでしょう」
「今度は新曲だから」
「なんで新曲があるの?」
こんな繰り返しで、鶴田浩二さんの新しい作品を買い求めてきましたが、家内の言うように鶴田さんは昭和62年に亡くなっており、新曲がでるはずもないものの、それでも買ってきてしまう癖が、今度は四国遍路の冊子や真言密教に関する冊子になってきました。
さて、鶴田浩二さんが主演した最後の作品が「シャツの店」で、山田太一さんの脚本で1986年にNHKドラマ人間模様で放送された作品です。
オーダーメイドのシャツを仕立てる職人役が鶴田さんで、頑固な主人に耐え切れずに出て行った妻(八千草薫)と、夫婦仲をとりもとうとする弟子や息子たちとの家族の葛藤を描いたドラマで、頑固で亭主関白の主人公を演じながら、鶴田さんとしてはちょっとかっこ悪い役柄でしたが、同じく山田太一さんの作品「男たちの旅路」でも共通する人間の弱さを見事に演じきったドラマとなりました。
キャスト
本日は、主人公の息子の彼女役だった美保純さんの父親役を務めた杉浦直樹さんについて添付しておきたいと思います。
ドラマでは破天荒な娘に、顔をゆがめた磯島周吉役の鶴田さんでしたが、この娘の父親役として何度も磯島家や居酒屋に訪れ、若い娘を持つ父親として娘の無礼な行動を謝りながらも、娘のために身体を張る場面もあり、同じ親の立場で鶴田さんと飲み語る姿が忘れられません。 杉浦さんは1931年(昭和6年)に愛知県岡崎市に生まれ、2011年(平成23年)9月に亡くなられているが、26歳で結婚したものの13年後に離婚し、「役者は生活のにおいを出してはいけない」と一人でホテル住まいを続け、ゆえに家を持たず、結婚自体も否定して生涯独身を貫くとまで話して役者一筋の生活を貫いていたといいます。
「独身」杉浦直樹さん 妻に看取られ逝く
演技に生活臭がでるのを嫌い、脳梗塞で倒れるまでは都内の一流ホテルで生活していたとの話や、酒豪・愛煙家であり、日本酒一升は軽く、タバコは両切りピースを好んでいたとの話は、酒とタバコと縁の切れなかった鶴田さんと共通ですが、脳梗塞で倒れてからは看病で付き添っていた仁美さんと夫婦になり、再起を目指してリハビリに努めていたものの志は果たせませんでした。
鶴田浩二さんは昭和62年に亡くなっていますが、シャツの店で妻役を演じた八千草薫さんと杉浦さんが代表作となる「岸辺のアルバム」で夫婦役を演じていることから、鶴田さんにあと10年の命があったなら、山田太一さんの脚本で、名脇役だった杉浦さんともコミカルなドラマが展開されたと想像されてなりません。
テレビの毒舌で有名な俳優の坂上忍さんは、自分のブログの中で「杉浦直樹先輩」と題して、一度だけ共演したドラマの中で、杉浦さんに演技上の苦言を受けたことを記し、「見て見ぬ振りが当たり前の世の中で、【許せないモノは許せない】、【おかしいモノはおかしい】と言ってくれる先輩は、今となっては財産でございます」と書き残しています。
坂上忍オフイシャルブログ 2011年9月23日
高価買取のチラシを貼られた27歳の愛車は勿論ですが、還暦を迎えた私の残された人生も残り少なくなっており、鶴田浩二さんや杉浦直樹さんのように、鬼籍に入ってからも語り継がれる存在を目指したいと思います。
この一言の満10年までのカウントダウン、あと15日
1月28日の一言








